2026年ワールドシリーズは、ブリュワーズが4勝2敗でレイズを破ると予想します。決め手に挙げたいのは、接戦を引き継ぐ救援陣と、出塁から得点までの選択肢です。どちらが勝っても球団初の世界一となる対戦ですが、似た強みを持つ両チームだからこそ、継投の一手と走塁の判断に差が出ると見ています。
日本時間2026年10月23日、開幕前の展望です。シリーズの勝敗と展開は筆者の予想です。
優勝予想はブリュワーズ、4勝2敗の決め手は救援陣
ブリュワーズはレギュラーシーズンで球団最多の103勝を挙げ、ナ・リーグ優勝決定シリーズではドジャースを4連勝で退けました。年間の強さを示したうえで、前年まで2年連続世界一だった相手にも勝ち切っています。勢いだけで優勝候補に挙げるチームではありません。
それでも、短期決戦の予想で最も重視したいのは103勝という数字より、先発が降板した後に、相手へどれだけ攻めどころを残すかです。アーロン・アシュビー、アブナー・ウリーベ、トレバー・メギルらを使えるブリュワーズは、終盤のリードを守るだけでなく、中盤の同点からも勝ち筋を組み立てやすいと評価します。
たとえば5回を終えて同点なら、最も危険な打順に強い救援投手をぶつけ、次の得点を待つ戦い方ができます。逆に1点を追う展開でも、追加点を防げば相手の継投や守備固めを難しくできます。救援陣の厚さは、リード時に限らず試合の選択肢を増やす強みです。
4勝2敗と見るのは、レイズの先発陣と中軸打者が、シリーズを一方的にはさせないと考えるためです。本拠地での最初の2試合を1勝1敗以上で乗り切り、敵地でも接戦を拾い、ミルウォーキーへ戻る第6戦で決める展開を本線にします。
最大の攻防は「ブリュワーズの継投を何回から始めさせるか」
レイズが狙いたいのは、ブリュワーズの救援投手を一度に打ち崩すことより、早い回から使わせる展開です。ブリュワーズの先発は、今ポストシーズンではまだ5回を超えて投げていません。強力なブルペンが支える形には、任せるイニングが増えるほど負担も積み上がるという裏側があります。
レイズがファウルで粘り、四球や単打で走者をためれば、得点にならない攻撃でも後の試合に影響し得ます。序盤で投球数を増やし、中盤から主力救援投手を投入させる。それを連日繰り返せれば、シリーズ後半にはブリュワーズが同じ継投を選べなくなる可能性があります。
その意味で、ブリュワーズ側の重要人物は先発のジェイコブ・ミジオロウスキーです。2026年のレギュラーシーズンは防御率1.80、252奪三振を記録しました。このシリーズでは奪三振の数に加えて、少ない球数で打者を片付け、救援陣へ余力を残せるかが重要になります。
三振を狙う投球と、早いカウントでアウトを取る投球をどう使い分けるか。打者が速球への対応を優先しているなら、変化球でカウントを整えられるか。エースの好投を「その日の1勝」だけで終わらせず、翌日以降の継投まで楽にできるかが見どころです。
走る両チームだからこそ、盗塁数より「走らせない守備」に注目
この対戦は、走塁やバント、守備を生かすチーム同士の戦いでもあります。ただし、同じように足を使える相手だからこそ、積極的に走れば有利になるとは限りません。けん制、捕手の送球、内野のカバーまで含めて、相手が次の塁を狙ってくる前提で守ることになります。
注目したいのは、一塁走者を置いた場面での投球と守備位置です。盗塁への警戒で打者に集中しきれなければ、走者は動かなくても攻撃に貢献できます。一方、無理なスタートでアウトになれば、中軸へ走者を渡す機会を失います。
ブリュワーズではブライス・トゥラングとジャクソン・チョーリオに期待します。2026年のレギュラーシーズンでトゥラングは出塁率.366、21本塁打、チョーリオは打率.291、25本塁打を記録しました。出塁と長打を組み合わせられる打者がいるため、足を使うか、打たせるかを相手投手や局面に応じて選べます。
たとえば無死一塁で、最初から送りバントに決める必要はありません。強打できる打者なら、走者を置いたまま長打を狙う価値があります。ブリュワーズを推すうえでは、スモールベースボールを「小さく攻め続ける野球」と捉えず、相手の守り方に合わせて攻め方を変える点を評価したいです。
レイズの逆転シナリオは、先発の長いイニングとカミネロの一打
レイズが予想を覆すなら、ドリュー・ラスムセンとフレディ・ペラルタが先発で試合をつくり、ジュニオール・カミネロ、ヤンディ・ディアス、ジョナサン・アランダへ得点機を回す展開です。ブリュワーズの継投に付き合って毎試合投手をつぎ込むより、自分たちの先発が長く投げ、救援陣の投入を遅らせたいところです。
特にカミネロに走者を置いて打席を回せるかは重要です。長打力のある打者を単独で迎えるのと、四球でも走者が増える場面で迎えるのとでは、投手が選べる攻め方が変わります。前の打者の出塁が、カミネロの一打の価値を大きくします。
ブリュワーズ側も、中軸との対戦まで最も頼れる投手を温存すればよいとは限りません。その前に走者をためれば、かえって難しい場面で投げさせることになります。走者なしでカミネロを迎えるためにどこで継投するか、という逆算が必要です。
レイズが序盤に複数得点を挙げる試合を増やせば、ブリュワーズの救援陣の使い方は変わります。追う試合で主力投手を使うのか、翌日に残すのか。その判断を繰り返し迫れるなら、4勝2敗の予想は大きく揺らぎます。
ブリュワーズが勝てば球団初優勝、44年ぶりの舞台で歴史を変える
ブリュワーズの前回のワールドシリーズ出場は1982年です。当時はア・リーグの代表として出場し、カージナルスに3勝4敗で敗れました。2026年は44年ぶりの出場で、初めてナ・リーグ代表として世界一に挑みます。
1982年を知るファンにとっては、ようやく戻ってきた舞台です。その後に応援を始めた世代にとっては、初めて自分のチームをワールドシリーズで見る機会になります。ここで初優勝を果たせば、過去の名場面を振り返る際に、1982年と並ぶだけでなく、その先に置かれるシーズンになります。
ただし、「ブリュワーズ初の世界一」と「ミルウォーキー初の世界一」は別です。1957年には、当時ミルウォーキーを本拠地としていたブレーブスが優勝しています。ブリュワーズが制すれば、球団としては初めて、都市としては69年ぶりのワールドシリーズ制覇です。
長く待ったことそのものが勝利を呼ぶわけではありません。それでも、103勝したチームが最後の4勝までつかめば、強かったシーズンを優勝で締めくくる、球団の基準になる一年になります。若い主力が大舞台で何を残すかも、その後の球団史につながる見どころです。
レイズが勝てば3度目の挑戦で初制覇、未完だった強さの証明
レイズは2008年にフィリーズ、2020年にドジャースに敗れ、過去2度のワールドシリーズで優勝に届いていません。2026年は3度目の挑戦です。勝てば、リーグを制する力に加えて、最後のシリーズも勝ち切ったシーズンが球団史に初めて刻まれます。
主力が入れ替わっても戦えるチームづくりは、レイズを語るうえで大きな魅力です。ただ、その評価とワールドシリーズ優勝は同じものではありません。初制覇には、組織として積み重ねてきた工夫を、ファンが共有できる一つの頂点へ結び付ける意味があります。
今回の相手も、限られた戦力をどう組み合わせるかに強みを持つブリュワーズです。そこで勝つことは、単に資金力の大きな球団を倒す物語とは違う面白さがあります。似た課題に向き合ってきた相手との対戦で、先発、継投、代打、走塁の判断をどれだけ得点と失点に結び付けられるかが問われます。
球団の歩みを振り返るなら、デビルレイズからレイズへの改名理由と名前の意味も合わせて読むと、現在のチームへ至る変化が分かります。
観戦で追いたいのは、5回以降の投手の残し方
優勝予想はブリュワーズの4勝2敗ですが、序盤の得点差だけで優劣を判断しないようにしたいです。5回終了時に、両チームが何人の主力救援投手を残し、相手の中軸が次にどこで回ってくるか。そこを見ると、その試合だけでなく翌日以降の有利不利も見えてきます。
ブリュワーズが先発から余力を残してつなぎ、接戦で継投の選択肢を保てるなら予想に近い展開です。レイズが早くから球数を増やし、同じ救援投手との対戦を重ねるなら、シリーズは長引くと見ます。初優勝へ先に届くのはどちらか。その答えは、好機での一打と同じくらい、好機をつくらせない数イニングの積み重ねに表れそうです。


