2026年MLBでスモールベースボール再評価|ブリュワーズとレイズの成功と展望 | TOKYO リーマン NOTE

【2026年MLB】スモールベースボール再評価|ブリュワーズとレイズの成功と展望

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2026年MLBのスモールベースボール再評価をテーマに、走者のスライディングとバントする打者を描いた白黒のイメージ画像 2026年シーズン

103勝のブリュワーズと98勝のレイズ。2026年の両リーグで最多勝を挙げたのは、本塁打の量で押し切るタイプとは異なる2球団でした。スモールベースボールの再評価を象徴する結果ですが、両者の強みを読み解くと、見えてくるのは小技への回帰よりも、出塁を得点に変える選択肢の多さです。

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2026年の変化は「送りバントの復活」だけでは説明できない

スモールベースボールという言葉には、送りバント、盗塁、進塁打、コンタクト重視など、異なる戦術がまとめられがちです。しかし、打者がアウトになることを受け入れる送りバントと、自分も生きることを狙うバント安打では、攻撃の設計が違います。まずここを分けると、2026年の変化が分かりやすくなります。

リーグにもバント増加の兆しはありました。6月8日時点の集計では、バントで打球をインプレーにした打席と、バントのファウルで三振した打席を合わせた割合は全打席の約0.9%で、2025年の約0.7%を上回っていました。年間の最終値ではありませんが、一部の成功球団だけでなく、シーズン序盤のMLB全体にも変化が表れていたことは押さえたい点です。

それでも、ほとんどの打席では通常の打撃が選ばれています。バントが主役の野球になったというより、使う打者と場面を選ぶことで、攻撃の選択肢として見直されたと捉えるのが自然です。

ブリュワーズ:154本塁打で832得点を生んだ出塁の厚み

ブリュワーズの攻撃を「足でかき回した」の一言で説明すると、重要な土台を見落とします。2026年は154本塁打に対して832得点。チーム出塁率は.341、四球は668個で、長打以外にも走者をためる仕組みがありました。

2026年レギュラーシーズンブリュワーズレイズ
勝敗103勝59敗98勝64敗
得点832736
本塁打154169
出塁率.341.326
四球668514
盗塁/盗塁死162/54164/54

※2026年レギュラーシーズン終了時の成績。出典:Baseball-Reference、StatMuse。2026年10月19日(日本時間)確認。

両球団の盗塁数はほぼ同じですが、四球はブリュワーズが154個多く、得点も96多くなっています。もちろん四球の差だけが得点差の原因ではありません。それでも、走る回数より先に、どれだけ走者を出せるかを見る必要があることは、この比較から伝わります。

四球で出た走者が次の安打で三塁へ進めば、長打がなくても得点への道が開けます。相手が走者を警戒しても、打者がボール球を振らなければ簡単には打ち取れません。出塁と走塁をつなぐには、「積極的に動く」ことと同じくらい、「相手にアウトを渡さない」ことが重要になります。

なお、盗塁成功率を盗塁÷(盗塁+盗塁死)で求めると、両球団とも約75%です。盗塁数だけを並べて無条件に効率的だったと評価するのは早計で、点差、打順、走ったカウントまで含めて利益を考える必要があります。

レイズ:送りバント45個より、バント安打49本に注目したい

レイズで目を引くのは、送りバントだけでなく、バントそのものを出塁手段にしている点です。シーズンの犠打は45個、バント安打は49本でした。アウトと引き換えに走者を進めるだけではなく、守備側に処理と送球を急がせ、自分も一塁へ残る攻撃です。

バント安打はブリュワーズの32本を17本上回っています。レイズではチャンドラー・シンプソンが14本を記録し、日々のバント練習も攻撃を支えました。小技は精神論や意表を突くサインだけで成立するものではなく、走力に技術と反復練習を組み合わせる必要があります。

打線全体でも、三振率は2025年の23.1%から2026年は18.8%へ、スイングに占める空振りの割合は25.7%から20.7%へ下がっています。

レイズの三振率は2025年23.1%から2026年18.8%、空振り率は25.7%から20.7%へ低下

※2025・2026年レギュラーシーズン。三振率の分母は打席、空振り率の分母はスイングです。出典:MLB.com。2026年10月19日(日本時間)確認。

コンタクトが増えれば、走者がいる場面で内野ゴロや外野への打球から進塁できる機会も生まれます。ただし、当てることを優先して弱い打球ばかりになれば、守備にアウトを重ねられます。見るべきなのは三振の少なさだけでなく、打球の質と走者の動きを合わせて、どれだけ出塁と進塁につなげているかです。

バントに備えて内野手が前へ出れば、通常の打撃では守備の間を抜く余地が変わります。逆に深く守れば、足のある打者はバント安打を狙えます。一つの作戦を成功させるだけでなく、相手に二つの選択肢を意識させることに、レイズ型の攻撃の面白さがあります。

成功の条件は「バントする勇気」より、アウトの使いどころ

送りバントの是非は、1イニングで多くの得点を狙うのか、終盤に必要な1点を取りにいくのかで変わります。序盤に中軸へつながる無死一塁と、同点の終盤に下位打者を迎える一死三塁を、同じ判断で扱う必要はありません。

2026年6月の分析では、一塁にしか走者がいない場面でのバント割合が低くなり、一死三塁でのバントが増えていました。変化の焦点は回数だけでなく、どこで使うかにあります。打力のある打者に機械的に送らせるより、打者と走者、守備位置の組み合わせから使いどころを探す方が理にかなっています。

バントや走塁で相手のミスを誘うことはできますが、毎試合のミスを前提に攻撃を組み立てるわけにはいきません。相手が正しく処理しても利益が残る場面を選び、そのうえで判断や送球を難しくする。再現性を考えるなら、この順番が大切です。

また、1点を取りにいく戦術は、その1点を守れる投手陣や守備との組み合わせで価値が変わります。小技の成功とチームの勝利の間には、失点を抑える働きもあります。得点場面だけを切り取って「バントが勝たせた」と考えると、同じ戦術を別の球団がまねしたときの条件を見失います。

本塁打との併用こそ、ポストシーズンが示した強み

ブリュワーズはドジャースとのNLCS第3戦終了時点で、本塁打数でも5対0と上回っていました。レギュラーシーズンに本塁打が少なかったチームが、短期決戦では長打を得点源にしたのです。

これはスモールベースボールの失敗ではなく、戦い方を固定しない強みと見るべきです。四球で走者をためたところへ本塁打が出れば、一度に複数得点を奪えます。相手が小技に備えるかどうかにかかわらず、甘い球を強く打つ価値は変わりません。

レイズにも42本塁打のジュニオール・カミネロがいます。バントや走塁を担う選手だけで打線を埋めるのではなく、出た走者を長打で返す役割を残していることが重要です。全員に同じ打撃を求めず、それぞれの長所が前後の打者にどうつながるかを考える編成です。

強い投手を相手に安打を何本も続けるのは簡単ではありません。だからこそ、小技で1点を取れることと、一振りで複数得点を奪えることは両立させたい能力です。ブリュワーズの起用の幅は、NLCS登録26選手と戦い方の考察でも整理しています。

今後の展望:広がるのはバントの回数か、攻撃の選択肢か

相手の対策が進むほど、通常の打撃との切り替えが重要に

来季以降は、バント処理の連係や走者への警戒を強める相手が増えると考えられます。成功例が共有されれば、守備側も一塁を空けない配置や、誰が打球を処理するかを準備できます。2026年と同じ形を繰り返すだけで、同じ利益が続くとは限りません。

そこで重要になるのが、バントをやめる判断です。前進守備を見て通常の打撃へ戻す、送球の速い捕手には無理に走らないなど、対策に応じて選択を変えられるチームほど強みを残せます。バント数が減っても、相手の守り方を変えさせて安打が増えるなら、戦術の価値が失われたとは言えません。

補強では「足の速い選手」より、複数の役割を担える選手へ

この成功を参考にする球団が増えるなら、走力だけでなく、出塁能力、コンタクト、守備を兼ね備えた選手への関心が高まりそうです。代走にしか使えない選手より、先発でも出られ、終盤の守備も任せられる選手の方が、ベンチの選択肢を広げられます。

ただし、そうした選手の評価が上がれば、獲得の競争も強まります。比較的小さな予算の球団にとっては、完成した選手を集めるだけでなく、走塁判断やバント、守備を育成で伸ばせるかが問われます。球団ごとの資金規模は、2026年プレーオフ進出球団の年俸総額ランキングでも比較できます。

来季を見るなら、盗塁数より「失ったアウト」と「得点」を

今後の定着を判断するには、バントや盗塁が何回増えたかだけでは足りません。出塁率を保てているか、盗塁死や走塁死で攻撃を切っていないか、長打力を削りすぎていないかを合わせて追いたいところです。バント安打と犠打も分ければ、出塁を増やしたのか、アウトを使って進塁したのかが見えてきます。

2026年の両球団から広がるとすれば、すべてのチームが同じ小技を増やす流れより、長打を軸にしながらも、打てない日の得点経路を持つ発想ではないでしょうか。ブリュワーズの出塁とレイズのコンタクトは、その経路を作る異なる方法でした。次の焦点は小技の多さではなく、相手の対策を受けても得点力を維持できるかです。

参考情報

※日本時間2026年10月19日確認。年間成績はレギュラーシーズン、NLCSの比較は第3戦終了時点です。今後の戦術・編成については、これらの事実を踏まえた考察です。

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野球好きの30代サラリーマン / 趣味は野球観戦・読書 / 現在子育てに奮闘中 / 野球関連のデータ分析・考察記事を発信します

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