佐藤輝明選手のドジャース移籍は、現状の編成では実現のハードルが高いと考えます。外野にはデパウラをはじめとする球団内の候補が多く、獲得の筋道を描くなら三塁が中心になります。ただし、その三塁にもマンシーがおり、将来のFA市場を含めれば、今オフに後継者を決めなければならない状況ではありません。
※2026年10月21日(日本時間)時点の考察です。起用構想と獲得可能性の評価は独自の分析です。
外野起用は低く見る――デパウラと3Aの選手が同じ打席を争う
ドジャースが佐藤選手を外野手として獲得する必要性は、三塁手として獲得する場合より低いと見ます。既存主力との重なりに加え、球団内の若手へ渡すはずの打席も使うことになるためです。
特に見逃せないのがホスエ・デパウラです。将来の打線を担う候補として育ててきた打者がいる以上、外野に枠が空いても、それが外部補強のための空席とは限りません。テオスカー・ヘルナンデスの起用を減らしたり、トレードで配置を変えたりする場合も、まず内部の候補を試すという選択が成り立ちます。
3Aオクラホマシティの公式名簿にも、マイク・シロタ、ジェームズ・ティブス3世、ザック・アーハード、クリス・ニューウェルが並んでいます。全員がMLBのレギュラーになれるわけではありませんが、外野の出場機会を求める選手が複数いることは、佐藤選手の起用を考えるうえで重要です。
佐藤選手を加えるなら、既存主力だけでなく、こうした候補より優先して打席を与える理由が必要になります。外野に空きを作ることと、その空きを佐藤選手に使うことの間には、もう一つ判断があるのです。
さらにDHには大谷翔平選手がいます。外野守備への適応を待つために打撃専任で使う余地も限られ、外野とDHを行き来しながら打席を確保する構想は組みにくくなります。
獲得するなら三塁が本線、ただしマンシーと左打者同士で重なる
ドジャース移籍を成立させるなら、佐藤選手を三塁の主力候補として評価することが出発点です。外野の層が厚い球団でも、三塁の後継者を確保する目的なら、獲得する意味を説明しやすくなります。
佐藤選手は2026年のNPBレギュラーシーズンで打率.306、39本塁打、106打点を記録しました。長打力を備えた三塁手として将来の打線を託せると判断するなら、ドジャースが獲得を検討する理由はあります。
問題は、その将来像と2027年の起用をどうつなぐかです。マンシーは2027年まで契約があり、2028年には球団オプションが付いています。契約の節目に合わせて後継者へ交代するなら最短で2027年シーズン終了後となり、球団の判断次第では2028年までマンシーを残せます。
しかも、佐藤選手もマンシーも左打者です。相手先発の左右で使い分けるだけでは、互いの長所を生かした出場配分になりにくく、マンシーの休養日だけでは佐藤選手の打席が不足します。外野で補う案も、デパウラや3Aの候補との競合に戻ってしまいます。
マンシーを一塁やDHへ移すにも、フレディ・フリーマンと大谷選手がいます。三塁の後継者としては理解できても、加入初年度の役割が明確になりにくいことが、ドジャース移籍の最大の壁です。
2027年オフの三塁手FA候補――パレデス、アレナド、マクマホンら
ドジャースには、マンシーを起用しながら2027年の成績と若手の成長を見て、翌オフに三塁を再検討する余地があります。その時点の市場には、現行契約と保有期間に基づけば、以下の主要候補がいます。
| 選手 | 2027年終了後に市場へ出る条件 | 編成上の意味 |
|---|---|---|
| アイザック・パレデス | 現行制度で保有期間を満了する見込み | 三塁の主力候補として比較対象 |
| ノーラン・アレナド | 2027年で現契約終了 | 実績のあるベテランという選択肢 |
| ライアン・マクマホン | 2027年で現契約終了 | 左打ちの三塁手として比較対象 |
| ボー・ビシェット | 2026年終了後に残留し、2027年終了後に契約を離脱する場合 | 打撃を軸に検討できる条件付き候補 |
| マックス・マンシー | ドジャースが2028年の球団オプションを行使しない場合 | オプション行使による現体制維持も可能 |
※「2027年オフ」は2027年シーズン終了後を指します。2026年10月21日時点の契約・保有期間に基づく見込みで、延長契約や制度変更によって変わります。
なかでもパレデスは、マンシーの後継者を外部から探す際に比較しやすい候補です。2027年には契約オプションがありますが、それを行使しないだけで直ちにFAになる仕組みではなく、年俸調停を通じた保有権が残ります。自然なFA到達の見込みは2027年終了後です。
ビシェットは契約途中に市場へ出られる条件付き候補です。2026年終了後に移籍や新契約へ進めば、2027年オフの候補という前提も変わります。アレナドとマクマホンも、その時点の成績や守備、求める契約期間によって補強価値は変わります。
つまり、三塁の選択肢は佐藤選手だけではありません。一方で、この候補一覧だけから「1年待てば、佐藤選手より良い選手を確実に獲得できる」とまでは言えません。待つ価値があることと、待つ方が必ず得になることは分けて考える必要があります。
2028年オフにもルイス、ヤングら――マンシーを残して待つ道もある
2028年の球団オプションを行使すれば、ドジャースは三塁の判断をさらに1年先へ延ばせます。現行の保有期間では、ロイス・ルイス、ジョシュ・ヤング、ジョシュ・スミスらが2028年終了後のFA候補になります。
| 選手 | 2028年終了後に市場へ出る条件 | 位置付け |
|---|---|---|
| ロイス・ルイス | 現行制度で保有期間を満了する見込み | 三塁の主力候補 |
| ジョシュ・ヤング | 現行制度で保有期間を満了する見込み | 三塁の主力候補 |
| ジョシュ・スミス | 現行制度で保有期間を満了する見込み | 三塁を含む複数ポジションの候補 |
| カルロス・コレア | 2029年のオプションが保証されず、球団も行使しない場合 | 契約条件次第で市場へ出る候補 |
| ボー・ビシェット | 途中で契約を離脱せず、2028年まで現契約を満了する場合 | 早期FAにならなかった場合の候補 |
| マックス・マンシー | 2028年の球団オプションが行使され、延長なく満了する場合 | ドジャースの三塁再編の節目 |
※2028年シーズン終了後の見込みです。ビシェットとマンシーは、前表の条件分岐によってFA到達年が変わるため、両年に記載しています。
この時期まで待てば、ルイスやヤングらの成長・稼働状況を、さらに2シーズン見たうえで判断できます。球団内でも内野手アレックス・フリーランドがおり、外部補強と内部育成を並行して検討する余地があります。
ただし、2028年のマンシーの状態まで現在の水準で見積もることはできません。オプションを残していることは選択肢を持つ強みですが、三塁の問題が自動的に解決する保証ではありません。将来のFA候補にも、延長契約や負傷、市場での競争という不確実性があります。
それでも獲得するなら、2027年から三塁の役割を変える決断が必要
佐藤選手を獲得するシナリオが残るのは、ドジャースが将来の市場や内部候補よりも、今オフに確保する価値を高く評価した場合です。その場合、三塁の継承時期を早め、マンシーとの出場配分を変える必要があります。
実現には、佐藤選手へ三塁の先発機会を相応に渡すことと、マンシーの役割を具体的に調整することが必要です。2027年は控えとして待ち、2028年に三塁へ移るという説明だけでは、他球団が初年度から主力起用を提示したときの弱点になります。
佐藤選手は2027年の開幕を28歳で迎えます。MLBの投手へ対応し、打撃を修正する時間を考えれば、球団の将来構想に入っていることに加え、加入直後から試行錯誤できる打席が重要です。球団側の世代交代の時期と、選手側が出場機会を求める時期が合うかを問われます。
また、ドジャースが将来のFA市場を待つことと、佐藤選手の獲得を後回しにできることは別です。今オフに他球団と契約すれば、2027年や2028年に同じ条件で獲得できるわけではありません。佐藤選手を逃す可能性を受け入れてでも、現在の三塁構想を維持するかという判断になります。
ドジャース移籍の可能性は低め――三塁の空席より先に契約判断が来る
現状では、ドジャースの獲得可能性を低めに見ます。外野はデパウラと3Aの候補で混み合い、DHは大谷選手が担っています。三塁が最も筋の通る起用先ですが、マンシーの契約が残り、佐藤選手の加入時期と後継者を必要とする時期にずれがあります。
2027年・2028年オフには、条件付きの選手を含めて三塁手のFA候補もいます。その存在は、佐藤選手の獲得を不要とする決定打ではありませんが、マンシーを残しながら判断を待てる理由にはなります。
評価を変える材料は、ドジャースが佐藤選手を三塁の即戦力として扱い、マンシーとの役割調整まで踏み込む動きです。そこまでの具体性が見えるまでは、「日本人の強打者だからドジャース」という連想より、継続的に三塁の打席を用意できるかを重視したいところです。
他球団との比較は佐藤輝明のMLB移籍先4球団と契約規模の考察、外野再編の条件はドジャースのトレード放出候補と起用枠で整理しています。

