大谷選手の活躍により大人気のMLBですが
日本プロ野球と比較して、頻繁に大型トレードが成立します
特にシーズン中盤になるとポストシーズン争いに絡むチームが
実績のある選手を他球団から獲得することで、チームを補強する動きがみられます
一方でプレーオフへの進出を諦めたチームは、主力選手を他球団に放出する見返りに
有望な若手選手を獲得することでチーム再編をはかります
シーズン中のトレードには、期限が設けられていますので
特にトレード期限直前には各球団の動きが慌ただしくなります
今回は2024年シーズン中に成立したトレード案件と
トレード移籍が噂された有名選手を紹介します
またトレードの基本についても解説します
なお2024年シーズンオフの移籍情報は別記事でまとめています
記事の内容
トレードの基本
トレードとは?
球団同士の戦力強化のために選手を交換することです(または選手と金銭を交換)
契約次第ですが選手の意思と関係なく移籍が成立します
買い手・売り手とは?
トレード関連の報道では買い手・売り手という用語が使われます
買い手
- チーム成績が上位でプレーオフ進出争いに絡む
- 短期的なチーム補強を目的とする
- 主力選手(即戦力)の獲得を目指す
売り手
- チーム成績が下位でプレーオフへの進出は難しい
- 長期的なチーム補強を目的とする
- 有望な若手選手(3A所属含む)の獲得を目指す
トレードの種類
交換トレード
最も一般的なのが交換トレードです
2球団の間で選手同士の交換を行います
金銭トレード
次に一般的なのは金銭トレードです
買い手側が売り手側に金銭を支払うことで
選手を獲得することができます
三角トレード
稀に三角トレードが行われます
3球団による選手の交換です
無償トレード
稀に無償トレードが行われます
売り手側が買い手側に無償で選手を放出します
チームとの契約はどうなる?
基本的にトレードされた選手の契約(年俸・契約期間)は、移籍先球団に引き継がれます
そのため長期契約・高額契約を結んでいる選手を獲得するにはリスクを伴います
ただし交渉次第では売り手側が一定割合の年俸を負担する場合もあります
対象となる選手
買い手側が獲得を目指すのは以下の条件を満たす選手です
- チームの短期的な補強ポイントに合致する
- 即戦力として活躍が見込める
- 残り契約年数が少ない
買い手側にとっては”今シーズン”の成果を上げることが目的ですから
即戦力選手の獲得を目指します
また契約に関するリスクを避けるため、残りの契約年数が少ない選手が好まれます
一方で売り手側が獲得を目指すのは以下の条件を満たす選手です
- チームの長期的な補強ポイントに合致する
- 長期的な活躍が見込まれる期待値の高い若い選手
- 3A以下に所属する若手選手
売り手側にとっては”チーム再編”が目的ですから、将来性のある若い選手の獲得を目指します
またメジャー契約を結んでいない、3A以下に所属する選手を獲得することは
コスト面でのメリットがあります
将来的にメジャーに昇格させる際に、チーム事情を加味した契約を結び直せるからです
トレードの拒否は可能?
選手によっては所属チームとの契約の中で、トレード拒否条項を組み入れています
この場合は選手の判断でトレードを拒否することが可能です
ドジャース・大谷選手やメッツ・千賀投手の契約にも、拒否条項が盛り込まれています
環境の変化は選手にとって負担が大きいため
このような拒否権を契約に盛り込む選手は少なくありません
日米のトレード事情の違い
MLBではトレード市場が活発で、毎年のように大型トレードが成立します
トレード対象となる選手は他球団からの評価が高いわけですから
どちらかと言うと名誉なことです
一方日本では大型トレードは稀です
対象となる選手は所属チームで出場機会が少ない選手であり
チームにとっては戦力となる可能性が低いと判断されるわけですから
どちらかと言うと不名誉なことです
NPBとMLBでは球団数が異なりますので
一概に比較はできませんがトレードの考え方には違いがみられます
2023年の大型トレード案件
2023年シーズンは大物の移籍が相次ぎました
主要な買い手となったのはレンジャースで
結果的にワールドシリーズを制覇することになりました
一方で主要な売り手となったのはメッツで
開幕前の積極補強が実らず、シーズン序盤でチームに見切りをつけて主力選手を放出しました
以下に主要な移籍選手を紹介します
アロルディス・チャップマン
世界的に有名な速球派投手です
長年ヤンキースの守護神として君臨して左腕で
7月初旬にロイヤルズ→レンジャースに移籍すると
レンジャースのワールドシリーズ制覇に大きく貢献しました
マックス・シャーザー
将来の殿堂入りが確実視されている投手です
過去に3度のサイヤング賞を獲得した投手で
メッツ→レンジャースに移籍しました
チャップマン選手と同様にレンジャースの世界一に貢献しました
ジャスティン・バーランダー
こちらも将来の殿堂入りが確実視されている投手です
過去に3度のサイヤング賞を獲得しました
メッツ→アストロズに移籍しました
2024年の大型トレード案件
トレード期限
2024年シーズンのトレード期限は、7月31日午前8時(日本時間)でした
成立した大型トレード
ルイス・アラエス
2022年・2023年の首位打者です
5月上旬にマーリンズ→パドレスにトレード移籍しました
本塁打は多くありませんがコンタクト率が高い安打製造機です
ランディ・アロザレーナ
腕組ポーズで有名な期待の若手外野手です
7月下旬にレイズ→マリナーズに移籍しました
体は大きくありませんが本塁打の多い選手で盗塁数も稼げます
2023年WBCではメキシコ代表として日本を苦しめました
ジャズ・チザムJr.
2020年にデビューした若手有望株です
7月下旬にマーリンズ→ヤンキースにトレード移籍しました
小柄ですが身体能力が高くプレーも派手なため、将来を期待されている選手です
ショート・セカンドに加えて外野も守れるユーティリティ性と
驚異的な足の速さが武器です
カルロス・エステべス
実績十分のエンゼルスの守護神です
7月下旬にエンゼルス→フィリーズにトレード移籍しました
主に直球とスライダーの2球種で打者を打ち取ります
長年課題だった制球力が向上し開幕から好投が続いていました
ジャスティン・ターナー
ドジャースでも活躍したメジャーを代表するスラッガーです
7月下旬にブルージェイズ→マリナーズに移籍しました
長年ドジャースの主軸として活躍しましたが
2023年よりレッドソックス→ブルージェイズと渡り歩いてきました
今季39歳となるベテラン打者でかつてのパワーはありませんが
選球眼の良さと打撃スキルで高い出塁率記録します
菊池雄星
貴重な先発左腕として、日米で実績のある選手です
7月下旬にブルージェイズ→アストロズに移籍しました
2023年は11勝を記録するなど安定した活躍を続けており
2024年が契約最終年となります
フォーシームの平均球速は155キロと本格派で
日本時代に課題だった制球力も改善傾向にあります
ジャック・フラハーティ
タイガース先発ローテの柱として活躍した右腕です
7月下旬(トレード期限直前)にタイガース→ドジャースへ移籍しました
制球力が高く大崩れしない投手です
有力トレード候補(トレード不成立)
今季のトレードが有力視されていたものの
交渉が成立しなかった選手達を紹介します
ギャレット・クロシェ
今季のトレード市場で目玉となったのが
ホワイトソックスに所属するクロシェ投手です
最速163キロの直球が投球の半数を占め
メジャー屈指の変化量を誇るスライダーが武器です
今季から先発に転向した左腕は期待以上の活躍をみせました
ア・リーグのサイヤング賞候補に挙がるほどの好投手です
メイソン・ミラー
アスレチックスの若き守護神です
最速167キロの剛腕で切れ味鋭いスライダーを武器とします
まさに剛球という表現がふさわしく
オールスターゲームでも大谷選手から簡単に三振を奪うなど
素晴らしい投球をみせました
将来的には先発再転向も期待されている、ポテンシャルの高い投手です
タリック・スクーバル
タイガースのエース左腕です
2020年にメジャーデビューを果たした若手投手ですが
最速160キロ近い直球をはじめ多彩な変化球を操ります
奪三振能力が高い一方で制球も安定しており
2024年シーズンは投手三冠の圧倒的な成績で、サイヤング賞の大本命です
テイラー・ウォード
エンゼルスの主軸打者です
昨年までは大谷選手とともにチームを牽引してきました
安定した打撃でエンゼルスを支えてきましたが
若手外野手が台頭してきたチームを事情からトレードが噂されました
タイラー・アンダーソン
こちらもエンゼルスのエースです
2023年にドジャースから移籍し
2024年シーズンは大活躍を見せてチームの勝ち頭となりました
オールスターにも選出された好投手です
球速は早くありませんが変化球を中心に安定した投球が持ち味です
ルイス・ロバートJr.
ホワイトソックスの主砲で外野手です
2020年にデビューした若い選手ですが2023年は大谷選手と本塁打王を争いました
2024年シーズンも本塁打を量産するなど長打力が魅力の選手です
ブレント・ルッカー
アスレチックスの右の大砲です
昨年は30本塁打を放つ活躍をみせオールスターにも選出されました
2024年シーズンも本塁打を量産するなど長打力が魅力です
まとめ
今回はMLBのトレード事情と、2024年に成立したトレード案件をまとめました
例年通り多くの大型トレードが成立し
買い手に回ったチームはプレーオフに向けて戦力を整えました
売り手に回ったチームも来季以降の新戦力を確保しました
今後のMLBの動向から目が離せませんね
ここまでお付き合いいただきありがとうございました!