阪神が獲得調査を進めるブラッドリー・ブラロックは、MLB通算防御率7.87という数字だけでは評価しにくい投手です。直近の2026年には球威と奪三振に変化が見られますが、先発としての安定感はまだ示せていません。阪神にとっては、ローテーションを完成させる即戦力と決めつけず、先発の厚みと成長の両方を狙う候補と捉えるのが自然です。
※移籍情報・年齢は日本時間2026年11月5日時点。阪神入りは未発表で、成績は各年のレギュラーシーズン確定値です。
阪神移籍は決まった?現在は25歳右腕の獲得調査段階
11月5日、阪神がブラロックの獲得調査を進めていると報じられました。マーリンズは現地11月3日に自由契約としており、新天地を探せる状況です。ただし、阪神との契約成立や年俸、契約期間が発表された段階ではありません。
ブラロックは2000年12月25日生まれの25歳で、来季は26歳で開幕を迎えます。右投げ右打ち、身長188センチの投手です。実績の完成度より、これから球種の使い方や制球を磨く余地を評価する補強になります。
阪神の外国人先発ではルーカスの去就が流動的と報じられており、ブラロックの調査も先発陣を厚くする動きと考えられます。既存外国人の残留交渉と並行して候補を確保する意味があり、現段階で特定選手の後任と断定する必要はありません。
32巡目からMLBへ。手術を経て先発経験を積んだ経歴
2019年ドラフト32巡目、全体977位でレッドソックスに入団しました。2022年にはトミー・ジョン手術を受けて全休し、翌年に復帰しています。その後はブルワーズ、ロッキーズ、マーリンズと移籍を重ねました。
MLBデビューはブルワーズ時代の2024年6月20日です。同年にロッキーズへ移ると先発機会を得て、8月24日のヤンキース戦で初勝利を挙げました。MLB通算25登板のうち18試合で先発しており、来日するとすれば先発経験を持つ右腕の獲得になります。
一方、先発としての好投が皆無というわけでもありません。2025年7月28日のガーディアンズ戦では6回無失点、7奪三振を記録しました。阪神が見極めたいのは、こうした好投を生む球の組み合わせを、年間を通して再現できるかです。
MLB通算防御率7.87。2026年の11回1/3をどう評価するか
MLBでは、ローテーションを安定して守れる成績を残してきた投手ではありません。ただし、直近の救援登板では奪三振が増えており、過去の通算成績と現在の状態を分けて見る必要があります。
| 年・所属 | 登板/先発 | 勝敗 | 投球回 | 防御率 | 三振/四球 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024 MLB | 7/6 | 1勝3敗 | 30回2/3 | 5.87 | 20/20 |
| 2025 MLB | 14/12 | 2勝6敗 | 58回2/3 | 9.36 | 27/23 |
| 2026 MLB | 4/0 | 0勝0敗 | 11回1/3 | 5.56 | 12/4 |
| MLB通算 | 25/18 | 3勝9敗 | 100回2/3 | 7.87 | 59/47 |
| 2026 3A | 24/23 | 3勝10敗 | 110回 | 5.56 | 103/46 |
MLBと3Aは別集計。2026年3Aはジャクソンビルでの成績です。出典:MLB、MiLB。
2025年のMLBでは9回当たりの奪三振が4.14でしたが、2026年は9.53になりました。与四球は同3.53から3.18で、奪三振と四球のバランスには改善が見られます。

MLBレギュラーシーズン確定値。2025年は先発中心、2026年は救援4試合。9回当たりで比較。出典:MLB/Baseball Savant。
ただし、2026年は救援だけの4登板です。短いイニングでの球威を、先発の長い投球でも維持できるとは限りません。先発中心だった3Aでは110回で103奪三振、46四球であり、こちらも併せて判断したいところです。
強みは平均約154キロの直球と、縦横を使い分けられる球種
2026年のMLBでフォーシームの平均球速は95.9マイル、約154キロでした。報道では最速159キロとも紹介されています。2025年の平均94.6マイル、約152キロより上がっており、現在の球威を評価する材料になります。
持ち球にはスライダー、カーブ、スプリット、スイーパー、シンカー、カットボールがあります。横方向の変化と縦の変化を使い分けられるため、右打者には外へ逃げる球、左打者には低めへ落ちる球というように、打者ごとの攻め方を設計できる余地があります。
私が注目したいのは、球種の数より、ストライクを取る球と空振りを狙う球の役割を整理できるかです。追い込むまでに使える変化球があれば、速球を狙われ続ける展開を避けやすくなります。反対に、変化球が早いカウントで使えなければ、多彩さが実際の配球に結び付きません。
スプリットも、日本で成功するための候補にはなります。ただし、持っていること自体が決め球としての完成を意味するわけではありません。落差だけでなく、直球と見分けにくい軌道から低めへ投げられるかを見たい球種です。
課題は被本塁打。甲子園に移るだけでは解消しない
気になるのは、四球以上に長打を浴びたときの失点リスクです。2025年のMLBでは58回2/3で17被本塁打、2026年も11回1/3で4被本塁打でした。直近の奪三振増加だけで、投球全体が安定したと評価するのは早い状況です。
2026年3Aでも110回で21本塁打を許しています。走者を置いた場面で甘い球を減らせるかは、先発を任せる際の重要な条件になります。球速を上げることと、打者の得意な高さを避けることは別の課題です。
ロッキーズ時代には本拠地クアーズ・フィールドの影響も考慮すべきですが、2025年は本拠地で防御率12.27、ビジターでも6.44でした。環境が変わる利点は見込めても、成績不振を本拠地だけで説明することはできません。
甲子園で評価したいのも、単に本塁打が減ったかではありません。真ん中付近への失投、四球の後の長打、追い込んでからの甘い変化球が減っていれば、投球内容の改善として期待を持てます。逆に、強い打球が続いているなら、球場の結果だけで安心するのは危険です。
阪神との適合度は?3本柱に続く先発候補なら意味がある
阪神にとっての狙いは、先発の上位を入れ替えることより、年間を通して起用できる候補を増やすことだと考えます。2026年は村上頌樹が防御率1.85、髙橋遥人が1.87、才木浩人が2.51と、中心となる投手が好成績を残しました。
この陣容なら、ブラロックに最初からエース級の成績を求める必要はありません。既存先発と競争しながら、連戦や離脱者が出た時期にローテーションへ入れるなら、補強の効果があります。球威を保って5〜6回まで試合をつくれるかが、現実的な評価軸になります。
起用法としては、まず先発で適性を見極め、球数が増えて長い回を投げられない場合には救援も検討する形が考えられます。ただし、複数の役割が可能なことと、どの役割でも高い成果を残せることは同じではありません。先発と救援を頻繁に往復させるより、調整方法を定めて評価する方が持ち味を把握しやすいはずです。
2027年からセ・リーグでもDH制が導入されます。投手の打席を攻める機会がなくなるため、下位打線まで同じ精度で投げ切る必要があります。ブラロックには、球速だけで押すより、変化球でカウントを整える能力がいっそう求められます。
一方で、DHによって投手の打順に合わせた代打交代は不要になります。先発として定着するには、その分だけ打順の2巡目、3巡目でも抑える準備が重要です。阪神の外国人補強を打線側から見るなら、オズナの阪神適性とDH導入による起用の選択肢も併せて読むと、投打で異なる補強の狙いが分かります。
獲得後に見たいのは最速より、先発での球威と四球の出方
現時点の評価は、条件が合えば獲得を検討する価値がある先発候補です。26歳で迎える来季、速球と多彩な変化球を日本の打者に合わせて組み直せる余地があります。ただし、MLBと3Aでの被本塁打を考えると、開幕からローテーションの柱として計算する補強には不確実性が残ります。
来日が実現したら、見たいのは三つです。先発でも中盤まで球威を保てるか、変化球でストライクを取れるか、走者を出した後に甘い球を減らせるか。この三点がそろえば、最速の更新がなくても阪神での役割は大きくなります。
特に注目したいのは、打順が2巡目に入ってからの四球と長打です。そこが改善すれば先発としての評価が上がり、改善しなければ救援への配置を考える理由になります。ブラロックの成功を左右するのは、球種を増やすことより、持っている球を長いイニングで使い切れるかです。


