大谷選手の活躍で人気のMLBですが
規格外のパワーをもつスラッガーや
陸上選手顔負けの俊足選手や守備の名手
三振の山を築く剛腕投手など
様々な武器を持つ選手が活躍しています
そのような選手達の総合的活躍を表す指標として注目されているのが
”WAR(ウォー)”です
「その選手が試合に出場しなかった場合の負け数」を表します
現在ではリーグMVPを決める際にも重視される指標です
今回はMLB歴代WARランキングをまとめます
またWARの基本についても解説します
なお2024年のWARランキングと推移は別記事でまとめましたのでご覧ください
その他のMLB歴代記録は以下の記事をご覧ください
記事の内容
WARの基本知識
WARとは?
WARはWins Above Replacementの略です
日本語で分かりやすく補足すると
「その選手が試合に出場しなかった場合の負け数」を表します
例えば2024年の大谷選手のfWARは9.1で
メジャー全体で3位の成績でした
この場合もしも大谷選手が欠場した場合
チームは9敗したと評価されます
大谷選手の活躍は9勝分と評価されたことになります
平均的な選手のWARは2.0前後ですので
大谷選手の価値が良く分かりますね
以上がWARの簡単な意味です(本来はもう少し複雑です)
WARの計算方法(初心者向け)
WARについてもう少し詳しく説明します
WARはざっくりと以下の式で計算されます
WAR(総合力)=攻撃力+守備力+投手力+補正値
それぞれの能力について簡単に解説します
攻撃力
攻撃力は打撃力と走力の合計値と考えます
打撃力
平均的な打者と比較して増加させた得点数(wRAA)を用います
これに球場の補正を加えて打撃力とします
球場によって得点の難易度が異なるためです
走力
平均的な走者と比較して増加させた盗塁による進塁数(wSB)と
ベースランニングによる進塁数(UBR)を合わせて評価します
守備力
守備範囲の広さ・肩の強さ・送球の正確性などを考慮した
守備の総合指標であるUGRを用いて評価します
ただしキャッチャーについてだけは
盗塁阻止率やパスボールを考慮した数値を使用します
投手力
守備の影響を排除した失点率(tRA)を用いて算出します
また投手としての役割(先発・中継ぎ)や
本拠地登板・敵地登板の影響も考慮されます
補正値
守備位置補正
守備位置による公平性を保つための補正値です
以下の順で守備の難易度が高いと考えられるため補正値も高く設定されます
キャッチャー>ショート>センター>セカンド>サード>ライト>レフト>ファースト>DH
代替水準対比補正
統計的な補正値です
野球の能力とは無関係の数値ですので
ここでは解説を割愛させていただきますが
打席数に比例する数値ですので
打席に立つ回数が多いほど数値は良くなります
WARの注意点
WARは選手の能力を評価する指標ではなく
チームへの貢献度を評価する指標です
出場試合数が多くなるほど
WARが上昇することからも明らかですね
また以下のような弱点も指摘されています
決まった計算方法が無い
現状でWARの計算方法は定まっていません
例えばアメリカで一般的に利用されているのは
FanGraphsが算出しているfWARと
Baseball Referenceが算出しているrWARです
それぞれ選手の総合力を表す指標ですが
微妙に計算式が異なるため2つのWARは数値が異なります
公平性に議論の余地あり
WARのランキングをみると
投手(特にリリーフ)の評価が低く出る傾向があります
またポジション補正値の設定にも議論の余地があります
よって選手の総合力を示す指標ではあるものの
現状では異なるポジションの選手同士を
完璧に比較することは難しいと考えられます
日本プロ野球でも導入されている?
日本プロ野球はMLBと比較してデータの活用面で後れをとっています
MLBでは各球場に無数のセンサーを配置し
打球速度や角度・選手の動きなどを全て記録し
それらのデータを活用するとともに
一般にもそれらを無償で公開しています
日本でもWARを算出する企業が登場し
徐々にNPBにもWARが浸透していますが
まだまだ発展途上と言えそうです
MLB歴代fWARランキング(2000年以降)
1位から3位はバリー・ボンズ選手です
MLB最高のスラッガーとして知られ
シーズン最多73本塁打を記録した打者です
OPSのシーズン最高記録保持者でもあります
圧倒的な打撃力に加えて
外野守備もそつなくこなしました
4位はヤンキースのジャッジ選手です
現役最高のスラッガーと評価される打者で
MLBを席捲しています
驚異のフィジカルから本塁打を量産し
外野守備でも強肩を披露します
6位はロイヤルズのウィットJr.選手です
2022年にデビューした若手選手ですが
既にMLB屈指の万能選手として活躍します
高いコンタクト率と俊足を生かした打撃と
ショートの華麗な守備が魅力です
今後のMLBを背負うであろう選手です
9位はエンゼルスのトラウト選手です
長年MLBのスーパースターとして活躍し
走攻守全てにおいて
MLBトップクラスの能力をもちます
現在大活躍の大谷選手のキャリアハイは
2022年に記録した9.2です
この年は投手として15勝挙げながら
打者として34本塁打を放ちました
MLB歴代fWARランキング(2000年以降・投手)
冒頭で解説した通り
投手のWARは一般的に低く見積もられます
出場試合数が少ないポジションですので
野手に比べると
勝利への貢献度は低く評価されます
ここでは投手のみのfWARランキングを掲載しました
1位はランディ・ジョンソン投手です
左腕としてはMLB最多5度のサイヤング賞を獲得した大投手で
歴代奪三振ランキングでも上位の投手です
身長208センチの長身投手で
最速164キロの直球と高速スライダーで
三振の山を築きました
4位はペドロ・マルティネス投手です
3度のサイヤング賞を獲得した右腕で
切れ味鋭い多彩な変化球を操る投手でした
高い制球力と質の高い変化球で
高い奪三振率を誇った大投手です
現役投手ではデグロム・カーショウ・バーランダー投手等が名を連ねます
特に長年ドジャースのエースとして
黄金期を支えたカーショウ投手の記録は
多数ランクインしています
まとめ
今回は歴代WARランキングをまとめました
またWARの基本についても解説しました
WARは選手の活躍を総合的に表す指標ですので
上位ランカーは有名選手が並びました
ここまでお付き合いいただきありがとうございました